集団指導と個別指導 医学部受験にはどちらの予備校を選ぶべき?
目次
個別指導塾のメリットとデメリット
個別指導塾では、1人の生徒に対して講師1人のマンツーマン授業が行われます。このマンツーマンという特徴がメリットにもデメリットにもなり得ます。
メリット:本人のレベルに合わせた授業
マンツーマン指導では、生徒1人1人の今の学力レベルに合わせて、最適なテキストを選んだり、個別カリキュラムが組めます。目の前で本人が解く様子を見て、先生が理解度や解き方のクセを把握したり、本人が気づかない弱点を発見したりできます。
また、授業中いつでも先生に質問できる点もメリットです。大勢の前では恥ずかしくて質問できないお子さんや、後で聞こうと思って忘れてしまうお子さんには良いでしょう。
デメリット:競争相手がいない
個別指導では、競争相手がいないので、受験で大事な「競争力」が身に付きにくい点がデメリットです。
また、目先の管理(宿題をしてきたか、復習してるかなど)に時間が割かれてしまいがちで、「医学部合格」という目標に向けた勉強や対策が後回しになってしまうことがあります。
本人の意識や先生の指導力が低いと、高3の夏前には終わっていなければならない基礎ができておらず、秋になっても本格的な受験対策ができない……といった事態が起こりがちです。
自学自習が苦手な子、一人で勉強したい子にお勧め
自学自習が苦手で先生の管理が必要なお子さんには、個別指導がいいかもしれません。また、一人で黙々と目標に向かって勉強するのが性に合っている子もいます。
英語だけが足を引っ張っているとか、この単元だけが弱いなど、特定の教科や単元を底上げするのにスポット的に個別指導を活用するという手もあります。
集団指導塾のメリットとデメリット
集団指導塾では、講師1人に対して大勢の生徒で、講義スタイルの授業が行われます。受験仲間ができることにもメリットとデメリットがあり、講師との出会いにも当たり外れがあったりします。
メリット:カリスマ講師の授業が受けられる
大手予備校では、受験のカリスマと呼ばれるような著名な先生や指導力のあるプロ講師の授業を受けられる可能性があります。人気講師たちは単に解法を教えるだけでなく、その教科の面白味も教えてくれることが多く、嫌いだった教科が好きになる生徒も少なくありません。
また、良きライバルができると競争意識が芽生えて、勉強にも熱が入ります。
費用的な面で言えば、個別指導や家庭教師よりも割安なところが多いようです。
デメリット:講師が1人1人を把握できない
講師が大勢の生徒を相手にするので、1人1人を細かく把握することはまず期待できません。授業についていけなくても置いてきぼりにされる可能性が高いでしょう。講師との相性が悪かったり、指導力の低い講師に当たったりしても簡単には変更できません。
また、同じ塾の生徒同士で仲良くなりすぎて、なれ合いになりやすい点も要注意です。
「塾で1番だから」「あの子よりできるから」と安心して、井の中の蛙大海を知らずになってしまう落とし穴も。全国には医学部を目指す何万という競争相手がいます。塾でトップでも医学部に入れるかどうかは話が別です。
自学自習ができて負けず嫌いの子にお勧め
自学自習できる子は、集団指導でもより効率的な解き方を教わってどんどん得点力をつけていけるでしょう。また、負けず嫌いの子もライバルと競ってやる気が出そうです。
集団指導は授業のペースが計画通りに進んでいくので、塾の授業にしっかり付いて行くことができる子は、的確なスピードで効率よく学んでいけます。
個別と集団のハイブリッド「少人数制」
集団指導と個別指導のほかに、もう1つ「少人数制指導」という選択肢があります。個別と集団の両方の「いいとこ取り」をできるのが、少人数制の魅力です。
先生1対生徒5~6人以下が理想
マンツーマンでもなく、1対大勢でもない、その中間が少人数制です。少人数制は個別指導と集団指導、それぞれのいいところを兼ねたハイブリッドです。
少人数制の良い点としては、競争相手が身近にいて励みになることや、アットホームで質問がしやすいこと、集団指導より先生の目が行き届きやすいことなどがあります。理想は、高校生なら先生1人に対して生徒が5~6名以下です。小学生なら生徒10人で、メインの先生と補助教員が1名です。
ちなみに、松原塾では少人数制を採用し、必要に応じてマンツーマン指導にも対応しています。
講師の力量をしっかり見極めて
個別、集団、少人数のいずれを選ぶにしても、大事なのは講師の力量です。
力量とは単に受験の知識やスキルが高いという意味ではなく、生徒のモチベーション管理や受験までのカリキュラムの管理、授業以外の時間の使い方の指導などを含めた、「医学部突破のための指導力」のことです。
塾や予備校によっては目玉の授業だけ有名な講師を招いて、それ以外は学生アルバイトで授業を回しているところも多々あります。松原塾でも大学生が授業を担当することはありますが、すべて医学生に限っています。そうでないと、医学部受験のハイレベルな問題には即答できません。
また、自分が選択する科目の講師がいるかどうかも見極めのポイントです。医学部受験では社会科の選択科目を地理にする人が多いので、地理の先生がいることはアドバンテージになります。
我が子が最も効率的に学べる塾を選ぼう
医学部受験は全学部の中で最も高難度であり、私立でも20年前より受験生に求める学力レベルがかなり上がっています。限られた時間で、いかに効率よく学んでいくか、得点力をつけていくかが合否を左右します。そういう意味で、塾・予備校選びは最初の勝負の分かれ目です。
「みんな個別塾だからうちの子も」とか「上の子が集団でダメだったから下の子は個別」という選び方ではなく、その子に合った授業のタイプを保護者が見極め、塾とお子さんとのマッチングをしてあげてほしいと思います。
まとめ
合格率や合格人数の実績も大事ですが、最も大事なのは「その子に合った環境、カリキュラムであるかどうか」です。本人の能力や性格を踏まえて、最も無駄なく確実に力をつけられる塾・予備校を選びましょう。講師の力量によって大きく学力は左右されるため、その塾・予備校がどんな講師陣を揃えているかもよく見てください。見学会や体験授業は塾・予備校の雰囲気を知ったり、どんな生徒や先生がいるかを確認する良い機会です。ぜひ親子で活用することをお勧めします。
塾長 松原澄子
1987年の松原塾開校以来、一貫して少人数制の医学部受験指導に取り組む。
特に幼児期から学習習慣を定着させる手法に定評があり、独自の受験指導で九州エリアでの実績を重ねてきた。
2人の息子と1人の娘を持ち、3人全員を国立大学の医学部に現役合格させた。